留学支援

留学を通してかけがえのない経験を

「東邦大学医療センター 大森病院 眼科」では、眼科専門医を目指すみなさんの留学を積極的にサポートしています。
当院の中では得られないような貴重な情報や体験を手に入れられるのが、留学することの最大のメリットです。そこで得たものは必ず今後の眼科医としての人生において大きな財産となるはずです。

国内留学

国内留学で貴重な臨床研修

東邦大学医療センター大森病院眼科では、国内の医療機関に留学できるよう体制を整えております。国内留学では臨床について学びたい方におすすめです。眼科の中でもどの分野に特化するのか目指すのに留学して学ぶ機会を提供いたします。

国内の研修可能施設

  • 国立成育医療研究センター
  • 北里大学病院
  • 国際医療福祉大学成田病院
  • 宮田眼科
  • 兵庫県立尼崎総合医療センター

森川 葉月先生

留学先:国立成育医療研究センター

Q.国内留学を希望した理由は?

大学に勤務している期間中は専門性の高い各分野の診療を学びましたが、将来の自分の専門を考える機会があり、その際に小児眼科診療を専攻したいと思いました。理由としては、子供たちにとって視覚情報の欠如が心身の発達にも影響を及ぼし、長期に社会生活に支障をきたすと思ったため、自分も子供たちの視覚を支える医療を行いたいと考えたからです。大学にも小児眼科の専門外来があり、大田区を中心とした地域の診療所から斜視弱視や眼瞼疾患、時には網膜芽細胞腫や白内障、緑内障といった患者さんまで受診されておりました。外眼部の手術は大学でも全身麻酔下で行っておりますが、内眼手術に関してはより専門性の高い病院へ御紹介して治療を行っていただいており、私は大学では経験できないその先の診療に興味を持ちました。その先の診療を学ぶため、眼科4年目から現在に至るまでは国立成育医療研究センターに勤務させていただいております。

Q.国内留学先はどんな病院?

国立成育医療研究センターは東京都世田谷区にある病床490床を有する小児病院です。敷地内には病院と隣接した研究所が存在し、病院との緊密な連携のもとに、成育医療における実験医学から社会医学に至るまで広範な分野を対象とした先進的な研究が行われております。

眼科の手術件数は外眼手術年間300件前後、内眼手術は150件前後です。手術は週に3回、1週間で約10例の手術が全身麻酔下で行われています。自分と同じように他大学から国内留学に来ている先生や研究日を利用して見学に来ている先生方も多くいらっしゃいます。

Q.国内留学先はどんな業務をされていましたか?

配属当初の私の役職は専門研修医でした。専門修練医の日常業務としましては、朝の病棟回診から始まり午前中は上級医の先生方の外来の横付きをしながら症例を学び、午後は手術の助手や斜視の術前検査、VEPやERGといった眼科検査の見学をしておりました。手術の際は斜視や眼瞼などのより低侵襲な手術から指導医の先生の下、執刀させていただく機会も徐々に頂けるようになっていきました。勤務して半年ほどが経ち、日常業務に慣れてきた頃、上級医の先生の研究のお手伝いをさせていただく機会がありました。乳幼児の視覚難病の診療体制につき検討する内容であり、そこで小児の視覚障害の原因疾患の半数以上が先天素因であることを知りました。先天性眼疾患の中には先天白内障のように早期発見・早期治療により良好な視機能を獲得できる場合もありますが、病態や治療法が確立されていない疾患も多くあり、今後より良い医療を子供たちに提供するためには臨床・基礎研究もまだまだ必要であると感じました。そこで、臨床医として医療を提供するだけでなく、将来の医療を支えるための医学研究を行いたいと考え、臨床医として勤務する傍ら、病院に隣接した研究所で勉強させていただくこととなりました。分子内分泌研究部という研究室では染色体異常症、単一遺伝子疾患、インプリンティング疾患、および多因子疾患の観点から研究に取り組まれています。

留学3年目になると役職は専門修練医から医員に変更となり、初診や再診外来を担当しながら手術が必要な患者さんは自分が主治医となり執刀するようになりました。自分の外来には専門修練医の先生が横付きをしてくれて、一生懸命に勉強しています。

施設の特性上、稀な症例を経験することも多くありますので、その経験をより多くの先生方に知っていただくために、論文作成や学会発表に参加する機会も多いです。

Q.国内留学を通して思うことはありますか?

国内留学を通して皆様にお伝えしたい内容としましては、少しでも興味があることには迷わず取り組んでいただきたいということです。新たな環境に身を置くことで視野が開け、思いもよらなかった新たな出会いがあり、今まで全く想像もしていなかった経験ができます。私自身も大学に勤務していた頃は、自分が乳児の先天白内障や緑内障手術をしている姿も、大学院に入学して楽しく研究している姿も、英語の論文を書いている姿も、全く想像できませんでした。

話が長くなってしまいましたが、今回の留学体験記を読んだ皆様が少しでも国内留学にご興味を持っていただけましたら幸いです。最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

小林 達彦先生

留学先:国際医療福祉大学 成田病院

Q.専門領域に向けた国内留学を?

専門を決める当時准教授でいらした柴友明先生が網膜硝子体をご専門にされており、眼科医としての持つべき基本的な姿勢から公私にわたり指導してくださり、柴先生は私にとっての師匠であり第二の父のような存在の先生でした。その影響もあり網膜硝子体を専門と決めた当時、柴先生が国際医療福祉大学成田病院の教授に就任されました。網膜硝子体術者は一子相伝のような、先人の技術や考え方を伝承していくといった部分があります。当院では柴先生を師匠として先輩から後輩へ継承していく文化があり、やはり源流である柴先生のもとで網膜硝子体の勉強をすることができればと考えていたところご縁をいただき、専門医試験に合格したタイミングで国際医療福祉大学成田病院(以下成田病院)への1年間の国内留学が決まりました。

Q.成田の地での武者修行で感じたことは?

成田病院は東京大学、千葉大学、大阪大学と様々な大学の先生が集まっており、角膜と緑内障・神経眼科・網膜硝子体でそれぞれ教授がいて、主任教授は角膜と緑内障をご専門とされている臼井智彦先生でした。その他の医局員は各大学からのローテーターで、前眼部手術や白内障手術を主に研鑽している若手の先生が集まってきておりました。

私は網膜硝子体専門として赴任したもののまだ臨床経験が少なく、柴先生の手術に助手として入って硝子体手術を“見て勉強”することから始まりました。前述のとおり先輩の技術を見て聞いて“盗む”こと・継承するのが重要であり事細かなことまでその都度柴先生に聞いて、どんなにしつこく聞いても優しく教えてくださったのを覚えています。赴任して2週経過した頃に柴先生にご指導して頂きながら緊急手術の執刀をすることとなり、これ以降二人で硝子体手術症例を分担して行っていくこととなりました。手術日は主に月火水曜日ですが、緊急は積極的に受けていたため結果的に毎日のように手術室におりました。自分が執刀したことのない難症例では直接ご指導いただきながら、既に1回経験したような手術であれば極力一人で完遂できるようにしておりましたが、どのような状況でも必ず最後までバックアップスタンバイして頂けていたため、自分で考えながら、時には指導を頂きながら手術をすることができました。その他には例えば白内障難症例など、なかなか都内では経験できないような症例の診療・治療をしながら若手の先生の手術指導を行っておりました。東邦では学年的に後輩の手術指導につくことはなかったため、若手の先生に教えるということの難しさや新しい発見や経験もあり、これも自分を大きく成長させてくれた経験であったと思っています。もちろん手術症例とならないような様々な網膜硝子体関連疾患の診療も外来でチームで行っておりました。

また他の専門領域の教授もおり、自分では治療方針の判断がつかない他領域の疾患に関していつでもカンファレンスで相談できるような体制であったため、網膜硝子体以外の領域の勉強も実際の症例で大いにすることができました。木曜日の学術カンファレンスでは毎回論文の抄読会や症例提示をし、最新の知見や症例のシェアをして勉強することができました。また大学病院であり学生のローテーションもありますが、発表や口頭試問などの学生指導にも携わることができました。

Q.国内留学を通して短期間でも大きく成長できる?

私は1年間と比較的短い期間での留学でしたが、専門領域に特化した集中的な”修行”をすることができ、また都内の大学の医局にずっといては経験できないような症例体験をできたため、たった1年ですが技術・知識や医師としても大きく成長できたと思います。また他大学の同世代の先生方と仕事をすることで色んな考え方やアプローチの仕方があることを知り、世界が大きく開いたと感じました。東京以外に住んだことがなく初めての郊外での生活となり不便なことや右も左もわからないところからのスタートとなりましたが、それも今振り返ってみると人間としての成長に大きく寄与したと思います。

知らない場所に踏み出すのはその第一歩が難しいですが、踏み出した先には大きく開いた世界が待っていますので、留学に興味がある先生は積極的に行った方がよろしいかと思います。

高木 誠二 先生

Q.どのような国内留学をしましたか?

私は東邦大学を卒業後、大橋病院眼科に入局して一般的な眼科疾患を対象に臨床と研究を続けていましたが、ある学会の講演で再生医療のことを知り、神戸アイセンター病院へ国内留学し、iPS細胞を「網膜色素上皮細胞」に分化させ、加齢黄斑変性という疾患に移植する臨床研究に参加しました。
参加してすぐに実力不足を痛感した毎日が続きましたが、研究の大きさやレベルの高さ、関わっている人達の熱意はあまりに刺激的なもので、飛ぶように楽しい毎日が過ぎていき、「眼の再生医療が生まれるこの瞬間のために役に立ちたい」という私の目標に近づくことができました。
現在は大森病院眼科として神戸のチームとの交流は続けながら、再生医療実現にむけた研究を続けています。

Q.留学をお考えの方にメッセージをお願いします!

歳を重ねた今、つきなみではありますが、若い人にはどんどん外に出て色々な空気に触れてほしいと思うようになりました。現場に行って見ようという意志と感じようという意志があれば、なんでも吸収できると思います。人間が成長していくためには、なるべく多くの価値観に触れることが肝要であるということを強く感じられる、そんな国内留学であったと考えています。

Q.今後当院にて、この研究をしたい方へ

現在でも私は月に神戸アイセンターにてiPS細胞由来の網膜細胞が移植された眼底の画像解析の研究を行っています。
眼科領域は角膜の透明性のため非常に多くの眼底情報を外来で簡単に得ることができます。
補償光学を用いる検査では2μmの細胞が数秒の検査で直接に描出できたりします。また光干渉断層計はほとんどの眼底疾患に適応されていますが、これからの画像解析を3次元的にする技術や、その解釈が進むことでさらに病態の解明が進むものも多くあると予想しています。
もし皆様の中でも、このような研究を行いたいというやる気あるかたや興味のある方は、お気軽に医局から高木までお問い合わせくださいませ。
興味ややる気が未来を作ります。ぜひ一緒にやりましょう。よろしくお願いいたします。

柿栖 康二 先生

Q.どのような国内留学をしましたか?

眼科医として5年目を迎える頃、私はまだとくに専門領域というものを持っていませんでしたが、教授の影響により角膜専門医の道を志すことにしました。それを契機として、東京歯科大学市川総合病院へ2年間の国内留学が決まりました。
留学当初は、プレゼン内容が全く理解できなかったり、勉強会や抄読会が英語で行われたり、縫合糸の切り方一つでも正しい御作法があったりと、慣れるまで時間がかかったことが大変だったのを覚えています。
しかし外来診療のほかにも、教授外来や移植外来、そして国内ドナー発生時の手術組などを任せていただけるようになり、やがて角膜移植の手術を執刀させていただく機会もいただけ、非常に有意義な経験を重ねることができました。
大森病院 眼科に戻ってからは、留学で学んできたことを後輩医師に伝えるため、毎週症例カンファレンスを行っています。また現在は、角膜斑の一人として角膜移植を中心とした前眼部の診療に従事しております。

Q.留学をお考えの方にメッセージをお願いします!

留学でしか得ることが出来ない経験は必ずたくさんありますので、今後の眼科医として大きな財産になると思います。少しでも留学にご興味を持っていただけたら幸いです。

海外留学

より深い研究を実現できる海外留学

東邦大学医療センター大森病院眼科では、海外の医療機関に留学できるよう体制を整えております。海外留学では研究をより深く学びたいという方におすすめです。過去に海外留学された松村先生は近視について研究を行い、現在では国内学会でも多く発表するなど活躍されています。

海外留学の体験談

松村 沙衣子 先生

Q.どのような海外留学をしましたか?

私は2017年5月から2020年7月までシンガポール眼研究所(Singapore Eye Research Institute:SERI)の近視疫学チームにClinical Research Fellowとして留学していました。
留学先であるSERIはシンガポール国立眼センター(Singapore National Eye Centre:SNEC)の研究機関として設立され、科学論文数や獲得した研究助成金も含め、アジアでトップ機関の一つです。私は近視疫学チームに所属し、研究・データ分析・プレゼン・論文作成と、多くのことを経験できました。

Q.留学して良かったと思う点はどこですか?

留学を振り返ってみて、苦労もたくさんありましたが、得られる経験はとても大きかったです。日本の臨床生活では知り合えない貴重な人脈を形成できたことも大きな宝になりました。また、キャリアと育児とのバランスなど女性としての生き方についても、私の考えに大きく影響を与えてくれました。
プライベートにおける留学のメリットとしては、家族との時間の確保と子供の教育です。日本で夫婦共に臨床生活をしていた頃と比べると、研究生活はフレキシブルですので、長期休暇を使用したくさん家族旅行に行くこともできましたし、娘達はありえないスピードで英語を吸収しました。
このように公私にわたってたくさんのものを得られた、非常に充実した留学だったといえます。この留学で得た知識と経験を生かせるよう、今後も努力していきたいですね。

見学に来てみませんか

東邦大学医療センター 大森病院 眼科をもっと知ってください
当院では、初期研修を終えられたみなさんのご入局をお待ちしています。
少しでも当院に興味をお持ちいただけましたら、ぜひ見学にお越しください。ここではお伝えしきれなかった当院の魅力を肌で感じていただけると思います。